「あたしは赤ずきんよ」
目の前に現れた少女
アタマに頭巾をかぶって私にいう
「さあ、行きましょう?」
・・・・・・・・・・・なんて
またはじまっちゃったよ。
授業がつまらなくなるとでてくる妄想癖。
駄目だ駄目だ駄目だ。
いい加減こんな変なのなおさなきゃ。
そういいながらもノートの隅にもう赤頭巾の絵を描いている。
「ハァー」
溜息をついて諦めた。
自分にこの妄想癖をなおすことなんてできないよ。
こんな腐った世界で夢みれるっていったら寝てるときか妄想だけでしょ?
息抜きがてらにこのくらいいいんじゃんない?
って今までの自分の思考を否定してみる。
「ここにxが移項され、yが・・・・・であるから√・・・」
ああ、だめだ。つまらなすぎる。面白くない。
まったくどうしてこんな面倒なことをやるんだろう。
いっそのこと高校やめてしまいたい。
ていうか私は理系より文系に進んだ方がよかったんじゃないの?
妄想とか本とかダイスキだしさ。
はぁー・・・。まったく憂鬱になる。
大人もロボットみたいに働いてさ。
たとえば教壇に立つあの教師。
生徒や他の教師の見る目気にしてたっかいスーツを毎日きてる。
馬鹿じゃないの?
あんたに興味なんかないのにさ。
おっと。駄目だ。こんな話じゃつまらない。
こんな自問自答みたいなことしたってねぇ。意味が無い。
妄想の方が想像力、発想力、感受性を豊かにできるじゃない。
じゃあさっきの赤ずきんでも見て楽しむか。
楽しんでも最後にのこるのは、この冷めた世間をみたときの虚しさだけど。
「どこにいくの?」
私は赤ずきんに聞いた。
「どこだろうね。でもこんな腐った世界じゃないわ。もっと夢のあるところ。」
どうやらこの子とは気があいそうな気がする。直感的だけど。
「ふーん。」
どうせ赤ずきんの世界でしょ?ほら。お約束の。
「あたしの世界にでもいこうよ。」
「いいよ」
ほらね。私がこの世界をあやつれるんだから当たり前じゃない。
赤ずきんの話ってどうだったっけ?
まあいいや。
赤ずきんについてくと、森にはいって、一軒の家がみえてきた。
「あばあさんちよ」
「ふーん。」
「おばあさん、おともだちをつれてきたわ。」
「あ゛ら゛そヴかい゛」
低い声。
「おばあさん、のどをからしてるの?」
「わ゛だしゃ゛、風邪を゛ひい゛たの゛だよ゛」
「大丈夫?ひどい声よ?」
「い゛や゛・・・・とてもぎづい゛・・・。赤ずきんや、こちらにおいで」
赤ずきんはおばあさんによっていく
・・・・それより赤ずきんって本名ないのかしら。
するとおばあさんが起き上がり
毛におおわれた手で赤ずきんをつかまえる。
「キャアアアア」
赤ずきんは必死にもがく。
おばあさんではなく狼だった。
・・・・お約束ね。だって私の妄想だもの。
赤ずきんは指のさきから狼にたべられていく。
血がしたたりおちる。
ああ、おともだちを殺しちゃった。
「蘭。」
ハッとして私は顔をあげる。
そこにいたのは彼氏だった。
「変な顔」
「なによ。」
「帰るぞ」
「あ、うん。」
私は
この人に
食われていくのかな。
狼みたいに。
ううん。
私は結局
この妄想や夢をみないと生きていけない腐った世界に
食われていくのかもしれない。
「ねえしってる?」
「ん?なにを?」
「A組の大崎蘭ってコ、いるじゃん?」
「ああ、かっこいい関君と付き合ってたコ?」
「そうそう」
「どうかしたの?」
「なんかね、事件あったでしょ?」
「うんうん」
「あれね、帰りに関くんと別れて、関くんの知り合いがレイプして殺しちゃったんだって」
「あ、そのはなしか。」
「なんだ知ってたのかぁ」
「有名じゃん。」
「でも関くんつながりってのはしらないでしょ」
「まあ、うん。」
「凶暴な狼には近づいちゃいけないよね。赤ずきんみたいに」
「ああ、赤ずきん。あれって女性が男性におそわれることから作ったらしいね」
「うんうん。」
「・・・・あ、関くん」
「なにはなしてるの?」
「ううん。なにもないよ。」
「そっか」
「うん。」
「あ、そうだ。2人とも、放課後に勉強おしえてくんないかな?」
「・・・・どうする?」
「いいよっ」
「ちょっ!!さくら!」
「じゃあ、放課後に図書室で、ね」
羊の皮をかぶった狼
あなたのまわりには、いませんか?
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