「クロちゃん」
「はい?」
愛しの姫が呼んでいる
「あのね、姫、志萬くんのこと・・・・」
え?これはもしや・・・・あの・・・・相談!?
「すきなの・・・・」
「姫ええええええええええええええ」
ガバッ
ベッドから起き上がる
額に汗が滲んでいた。
なんだ。夢か。
夢の中で叫んだらしく隣にいる姫は相変わらずすやすやと寝ていた。
相変わらず無防備だ。
襲おうなんてことは考えるが実行すれば痛い目にあう。
ならばいっそこの主従関係を貫き通した方がいいんじゃないか。と思ったり思わなかったり。
「ハァ」
一服しようと立ち上がり、ベランダに出た。
東京は、星が見えない。
それは曇ってるせいでもある。
「クロちゃん」
いつもの私を呼ぶ声がした
「姫・・・」
寝巻にカーディガンをかけ、見慣れた顔が月光に照らされて微笑んだ。
裸足でベランダに出てきた姫が煙草を取り上げる。
「おいしい?」
「ええ、まあ・・・はい。」
横顔が薄く微笑む。
おいしいですけどあなたの唇のが美味しいのではないでしょうか。
なんて口が滑って言ったら「まあ、クロちゃんってば」なんていいながら殴り殺されそうだ。
「ねえクロちゃん」
「はい」
「・・・・クロちゃんは・・・・」
「なんですか?」
「・・・ううん。何もない。・・・それより、星、見えないね」
「あ、はい。」
「明日、予定、ある?」
姫に仕える私などに予定なんか
「ないですよ」
「じゃあお散歩いこうか」
「え?」
いつものことなのに、姫は笑った。
「何でそんなに驚くの?」
「いえ・・・。」
いきなり姫がそんなこというから、驚いただけで・・・。
「あ、姫、お散歩、どこにいきますか?フリスビーとかやるなら私かなり・・・」
「ううん。」
「はい?」
姫、ただ単に歩くだけですか?それとも私に飽きました?
なんて疑問がよぎる
「姫、クロベエとしてじゃなくて、黒薔薇憐児として、お散歩にいってほしいな。」
「え?あ、まあいいですけど・・・・なんでですか?」
「・・・海、一緒に泳げなかったし、最近学校もあるからなかなか使い魔モードで遊べないでしょ?だから明日は学校休んで、一緒にあそぼ?」
笑って
そんなこというから
今まで抑えてた喜びがあふれて
いつのまにか腕を姫にのばしていた。
あなたになら
姫になら
いつまでも
忠実な犬として
仕えます。
護って
あなたが死(き)えるまで
共に傍で犬になります。
だから
あなたが赦すならば
今はあなただけを
抱いていたい。
~その後~
「クロちゃん、おはよう」
「おはようございます姫」
「クロちゃん」
「はい」
「今日やっぱり学校いくね」
「え!?」
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