19. なまえを書くこと

「なまえをかけばしぬ・・・」
Lはつぶやいた。
もし自分の名前がキラにばれていたのなら、死ぬのだ。
もし夜神月がキラならば、私はしぬ。
実感がない。
今まで命をかけて動いた事がないからかもしれない。
「どうしたんだ?竜崎」
「月くん」
夜神月がそこにいた。
月くんがキラである可能性は、私の中で80%になっている。
いや・・・・監禁が終わった時点で現実的な説であれば0%
しかし私の中では月くんがキラだと思ってしまって仕方がない。
友人を疑うことは　　　なんて気分が悪いのだろう。
「竜崎?コーヒー、こぼれてるぞ」
ポタポタッ
右手で持ったコーヒーカップが微妙に傾いて、雫になって白い服に落ちていた。
「あ、ほんとですね。」
カップをテーブルにおくと、溜息がでた。
「どうかしたのか?」
「いえ・・・。何でもありません。――松田さん」
「はい?」
「ワタリに服を持ってくるように言っていただけませんか?」
「え?あ、はい。」
テーブルに置いてあるドーナツに手をのばす。
「月くん」
「なんだ竜崎」
「キラはなまえがわかれば人を殺せます」
「何をわかりきったことを・・・」
「月くんがキラなら、私をもう殺してるハズですよね。―ああ。でも本名わかりませんもんね。」
「・・・・竜崎」
「・・・・」
「やめてくれと言っているだろう?キラと疑われるのは気分が悪いんだ」
「すみません。」
月くんは背を向けた。
名前を書くだけで死ぬ
自分の与えられた『存在名』を糧に殺される
なんて腐った世界なのだろう・・・。